“夜なのに眠れない”と困った経験は誰にでも一度はあるはず。では、「不眠症ってどういうもの？」「どれくらい眠れないと不眠症になるの？」などと疑問に思ったことはありませんか？この記事では「不眠症」の定義や基礎知識を紹介します。自分も不眠症ではないかと不安な方や知識として知っておきたいという方はぜひチェックしてみてください。

この記事を読むための時間：3分

「不眠症」の定義は、A・Bの両方が当てはまること

「不眠症」の定義は、以下のA・Bの両方が当てはまっている状態です。順番に見ていきましょう。

A：夜眠れないことが長期間続く

第一に不眠症の定義として挙げられるのは、眠りたいにもかかわらず満足のいく睡眠が取れないこと。基本的に不眠症以外の病気が原因である場合や薬の副作用、薬物乱用などが原因の場合は当てはまりません。また、次に紹介するBの症状と合わせて睡眠障害国際分類「ICSD－2」では1ヶ月以上、「DSM－5」では週に3日以上かつ3カ月以上持続した場合に不眠症に当てはまるとされており、「3週間以内の不眠は一過性の生理的不眠」と定義されています。

B：不眠のせいで日中に不調が出る

眠りたいにもかかわらず満足のいく睡眠が取れないだけでなく、それによって日中に不調が出て、QOL（クオリティ・オブ・ライフ＝生活の質）が持続的に損なわれることも「不眠症」の条件となります。不眠による日中の不調とは、例えば倦怠感やめまい、集中力低下などが考えられるでしょう。

不眠症の4つのタイプ

不眠症の定義を紹介しましたが、不眠症には4つのタイプがあることも重要なポイントです。ここからは4つのタイプを紹介していきます。

①入眠障害（なかなか眠れない）

布団に入ってもなかなか寝付けず、30〜1時間以上眠れない状態です。「入眠困難」とも言われています。入眠障害は悩みや不安があると起こりやすいです。1度眠っても途中で目が覚めて再び眠ろうとするとなかなか眠れない「再入眠困難」もあります。

②中途覚醒（夜中に目覚めてしまう）

眠りについても翌朝起床するまでに何度も目が覚めてしまう状態です。「睡眠維持困難」とも言われています。再び眠っても起きてしまうため満足に眠ることができません。途中覚醒は入眠障害など他のタイプと併せて起こることが多いです。

③早朝覚醒（朝早く目覚めてしまう）

まだ起床時間ではない早朝に目覚めてしまう状態です。早朝覚醒の方が目が覚めるのが多いのは午前3:00～4:00頃で、眠り足りないものの再入眠はできなくなってしまいます。早朝覚醒は特に高齢者に多いです。

④熟眠障害（しっかり寝た感じがしない）

眠りが浅く、十分な睡眠時間が取れているにもかかわらずしっかり眠った感じがしない、まだ寝足りないと感じるのが熟眠障害です。睡眠に伴って発生し睡眠を妨げる「むずむず脚症候群（レストレスレッグス症候群）」などの症状が影響している場合もあります。熟眠障害は睡眠時間は十分に取れているため不眠であると本人が気付きにくいです。

必要な睡眠時間には個人差がある

不眠症の定義を知るうえでもうひとつ重要なのは「必要な睡眠時間には個人差がある」ということです。例えば「ショートスリーパー」とは、6時間以下の短い睡眠でも健康を維持できる人のこと。そんな方もいる一方で1日10時間以上眠らないと日中に不調が出てしまう方もいます。必要な睡眠時間の長さは、体質や年齢、コンディションなどによって異なるのです。日本では7時間程度の睡眠を推奨されることも多いですが、「何時間寝るか」という時間にこだわりすぎず、自分に合った睡眠時間をとることを重視しましょう。

不眠症の定義に当てはまるか考えてみよう

不眠症の定義について紹介しました。睡眠時間に関わらず「日中に不調や影響がでているか」という点が、不眠症かどうかを見分けるひとつのポイントとなります。また、不眠症にも4つのタイプがあるため、本人が気付きにくいケースも多いです。この記事を参考に不眠症の定義に当てはまるか考えてみて、心当たりのある方や不安な方は病院を受診するなどしてみてください。